旬の野菜 Spargel(アスパラガス) ※2009年作成

春から夏にかけてのドイツ人のお楽しみは、Spargel(白アスパラガス)。日本ではまだなじみの薄い生の白アスパラです。
この時期、市場の店頭や農家の一角の直売コーナーでは水滴の残る朝掘りSpargel(*以下:シュパーゲル)が並びます。
今回は"Volksgemüse(国民に最も人気がある野菜)" と呼ばれるシュパーゲルを特集しました。

シュパーゲルはユリ科の植物でニンニク、ネギと同じ科に属します。太陽の光の作用により、クロロフィルが形成され、紫や緑に変ります。

ドイツのシュパーゲルのシーズンは、例年4月の上旬頃に始まり、6月24日(洗礼者ヨハネの祝日)に終りを告げます。この時期にのみ食べられる、まさに貴重な旬の野菜です。

Rheinische Post おすすめシュパーゲルレストラン10
    (Rheinische Post2009年4月25日付)

 

レストラン名  

住所

tel. ホームページ
Haus Wilms Steinkirchener Str. 3,  41849 Wasserberg-Effeld  www.haus-wilms.de
Burgstuben-Residenz Feldstra. 50,  52525  Heinesberg www.burgstuben-residenz.de
Ratskeller Markt 20,  47546  Klakar www.ratskeller-kalkar.de
Im Eichwaeldchen Im Eichwaeldchen 15c,  47259 Duisburg www.imeichwaeldchen.de
Seepark Janssen Danziger Str. 5,  47608  Geldern  www.seepark.de
Genholter Hof Genholter Str. 61, Brueggen Brueggen 02163 6864 www.genholterhof.de
Zum Vater Rhein An der Kappel 4, Monheim Monheim 02173 392380 www.hotel-zum-vater-rhein.de

 


  

★シュパーゲルの歴史
★栄養価と品質
★基本調理方法 
★シュパーゲルに関するQ&A
★シュパーゲルの栽培と収穫
★ドイツのシュパーゲル栽培と消費量
★シュパーゲル村 "Walbeck" 紹介
★簡単レシピ

 

★シュパーゲルの歴史

アジアが起源と見られるシュパーゲルは 今から4000年前すでにエジプト・バビロニアで栽培され地中海沿岸のヨーロッパ各地にも伝わっていました。
エジプトの女王Nofretete(BC.13世紀ごろの女王・ベルリン・エジプト博物館の胸像で有名)はGötterspeise(神々の食事)と称えるほどシュパーゲルを好んだと言われています。
ヨーロッパにおいては、2500年前のギリシャの記録に既に"asparagos(柄、若枝の意)"という言葉が記されています。古代ギリシャでは、歯痛や蜂刺さされの鎮痛剤として、主に医薬品として用いられていました。
シュパーゲルがヨーロッパで初めて野菜として栽培されたのは、ローマ時代になってからです。紀元前150年にローマ人 Cato がシュパーゲル栽培方法を彼の著書"De aglicultura"に記述してます。彼のシュパーゲル栽培方法はローマ人によって各地に拡がっていきました。また1100年ごろになると医薬品としての効能もビザンチンから再び伝えられるようになり、その後は両分野で発展していきました。
16世紀にはスカンジナビア地方を除くヨーロッパの各国で栽培が始まり、19世紀にはいると栽培方法、栽培技術の近代化、缶、ビンなどを用いた保存方法の研究も進み、より身近な野菜となりました。

 

★栄養価と品質

栄養価:

シュパーゲルは100gにつき、たった13キロカロリーで嬉しいことにノンコレステロールです。94%は水分ですが、多数のビタミン、ミネラル、微量元素(生命維持に不可欠な元素)を含んでいます。これらは骨の物質代謝、肌組織や髪の毛の形成、その他、新しい細胞形成に関係しています。とりわけビタミンKは利尿作用を促進します。Folsäureは肉体の疲労感を和らげ、集中力を高める働きがあります。これら成分は収穫時期・栽培土壌により大きく変化します。

〈100g中の栄養価〉

炭水化物 2-3g
たんぱく質 1-2g
カリウム 15mg
カルシウム 16mg
リン 35mg
鉄  0.7mg
ビタミンC 16mg
ビタミンA 0.004mg
ビタミンB1 0.1mg
ビタミンB2 0.1mg
Niazin 0.5mg
その他 Folsäure、Biotin など

品質:

・エクストラクラス・・・高い品質の物。頭部は白く、しっかりしまっていて、まっすぐで太さがそろった物。長さ22cm、直径16〜26mm。外皮は軽くピンクがかっていてもよい。

・1級品・・・まっすぐで傷のないもの。頭部は白く、しっかりしまっている物。皮をむいてなくなる程度であれば、表面の所々の茶色は許される。長さ17〜22cm、直径12〜26mm。

・2級品・・・少しまがっていてもよいが、傷はないもの。外皮は、ピンクか少し茶色の部分がある程度。頭部は、少し柔かく色がかっていてもよいが、緑は不可。長さ12〜22cm、直径12mmから。

 

★基本調理方法(白シュパーゲル)

1)流水で手際よく水洗いする。
2)先端部を残して、全体の皮をピーラーなどでむく。この時、先から根に向かって向いた方が痛めにくい。
3)根元から2〜3cmを切り落とす。
4)鍋にシュパーゲルがかぶる位の水を入れ、塩一つまみ、砂糖小さじ1〜2杯とともに15〜20分ゆでる。

・・Tipps・・
@シュパーゲル専用の鍋を使う場合は、全体の3分の2程度まで水を入れ、先端は蒸し煮にします。直径16cmの専用鍋で、約1kgのシュパーゲルを茹でることができます。
A購入した日に食べない場合は、皮をむかずに湿らせたキッチンペーパーに包んで、冷蔵庫の野菜室で、1〜2日保存できます。
B切りとった2〜3cmの根元と外皮は10〜15分煮てこし、クリーム状のスープやソースのだし汁として利用できます。

 

★シュパーゲルに関するQ&A

どのシュパーゲルが新鮮? 
-穂先はしっかりと閉じていて、胴の太さが均一、根元が乾燥していないものが新鮮です。ただし、店頭に並べられる前に根元をカットされる場合が多いので注意が必要。シュパーゲルを2本軽く打ち合わせて、高い音がすれば新鮮です。

シュパーゲルは生で食べられる? 
-調理して食べるのが一般的なシュパーゲルですが、生で食べることもできます。しかし、生食ではシュパーゲル独特の風味があまりしません。茹でることにより、あの独特の風味がでてきます。

調理の際に気をつけることは? 
-野菜用の茹でかごを利用して、直接湯に触れる部分を少なくし、蒸気を利用して調理するようにしましょう。ビタミンなどの栄養素が失われるのを防げます。茹でる場合は、最小限の水量で調理してください。シュパーゲルを立てて調理できるシュパーゲル専用の鍋を利用するのもお勧めです。

シュパーゲルはどうやって保存する? 
-きれいに洗ったシュパーゲルを湿った布で包み冷蔵庫で保存すると、2、3日はもち ます。グリーンのシュパーゲルは、根元を水につけて立てておくのがよいでしょう。

シュパーゲルには利尿作用がある? 
-シュパーゲルには脱水・利尿作用があり、腎臓機能を活性化します。むくみや肥満で悩んでいる方には、お勧めの食材です。ただし、腎臓結石の傾向がある方、血液中の尿酸値が高い方にはシュパーゲルの利尿作用がマイナスに作用することがあるので、注意が必要です。

6月24日(聖ヨハネスの日)には何か意味があるの?
-シュパーゲル栽培で大切なことは、適切な時期に収穫し、それ以外の時は静かに休ませ畑に負担をかけない、ということです。根を長持ちさせ翌年も良質のシュパーゲルを栽培させるには、初夏で収穫を終えることが大切なのです。またドイツでは収穫時期など大切な期日を選ぶにあたってキリスト教の暦が古くから用いられていたそうです。ちなみにシュパーゲルと同時期に店頭に並ぶ赤いふきのような野菜"Rhabarber" の収穫もこの日までです。

 

★シュパーゲルの栽培と収穫

植え付け作業 《3月から4月》

シュパーゲルは、一度植えつけると初収穫まで約3年の月日を要し、その後は約10年(土壌による)にわたって収穫できるので、植え付け作業を目にすることはめったにありません。
1mの深さまでよく耕された畑の25〜30cmの所に、種類により20〜40cmの間隔でトラクターから直接植え付けが行なわれます。

〜毎年の通常作業〜

畝つくり 《3月》 

シュパーゲルの根は収穫後も掘り起こされないので、毎年の通常作業は畝つくりからスタートします。


1)畝を崩すように表面を耕す。(土中の水分を蒸発させるためしばらく放置)


2)乾燥し、やわらかくなった畑


3)シュパーゲルの根の位置を確認


4)根の位置にショベルをたててマークをつけ、トラクターでまっすぐな畝を作る。


5)トラクターの前部で土をほぐし,後部の機械で畝を固める。


6)ビニールシートで保温、水分調整、日光量調整を行なう。

 

収穫 《4月から6月24日》

シュパーゲルの収穫は日の出とともに始められます。地表のわずかな裂け目から、シュパーゲルの頭部を見つけ、そこを素手で抑え、専用ナイフで約25cmの深さに差込み収穫します。収穫後はすぐにかごか木箱に入れられ、乾燥や変色を防止するために、速やかに湿った袋に詰められます。切り口の横からまた芽が出てくるので、収穫後の穴は、すぐに埋めてもとの平らに戻されます。


シュパーゲルの根っこ


収穫後

畑を休ませる。夏には緑の葉と実をつける。秋の終わりに枯れて乾燥した茎、葉を切り落とす。


シュパーゲル畑 夏

写真提供:(C)Spargelhof Kisters

 

★ドイツのシュパーゲル栽培と消費量

栽培:

ドイツのシュパーゲルの大規模産地は大別すると2箇所になります。一つが北海からエルベ川にかけての北部地域(Braunschweig, Hannover, Osnabrueck)、もう一つがマイン川、ライン川、ドナウ川に挟まれた南西地域(Darmstadt, Ingolstadt)です。中でも北部地域の Braunschweig 周辺では1885年に栽培から保存食製品の生産工場までを一手におさめた会社が創設されました。
一方このような大規模組織の農業と性格を別にしたシュパーゲル栽培がドイツ各地で行なわれるようになったのはここ数十年のことです。
長年研究に取り組んだ農学学士 Augst Huchel 氏が1920年から30年代にかけて、生まれ故郷のOsterburg 及び Altmark(旧東ドイツ)で生産を始め、"Deutsch Spargelzuch-Gesellschaft(ドイツシュパーゲル組合)"を発足させました。彼の目指した農業はシュパーゲルを利益率の高い野菜にするという、市場経済も視野に入れたものでした。その後共産主義東ドイツでのシュパーゲル栽培を断念した彼は1953年西ドイツに亡命、ニーダーラインのWalbeckに栽培技術を伝えると共に、品種改良や栽培技術を確立しました。
シュパーゲル栽培は利益率が高く、ドイツ国内の栽培面積はここ十年で2倍となり、今も年約3%の伸びを示しています。現在の国内総栽培面積は約15,000ヘクタール。最大はニーダーザクセン州の約3,000ヘクタール、続いてバイエルン州の約1,700ヘクタール、三番目はノルトライン・ウェストファーレン州とヘッセン州で、それぞれ約1,600ヘクタールです。総生産量は年間約55,000トンにおよびます。

《ドイツ国内のシュパーゲル産地》

消費量:

ドイツでは国民1人当たり平均で、国産シュパーゲルを一年に1.3kg、外国産を0.9kg 消費しており、全国的な消費量は8.5万トンから9万トンです。ドイツ全体で消費されるシュパーゲルの約25%は生産農家から直接購入されたもの(ドイツ産のシュパーゲルだけで見ると45%)です。
ドイツのシュパーゲルシーズンはイースター明けから6月24日ですが、ヨーロッパ全体では2月から7月がシーズンとなります。年間約4万トンがスペイン、ギリシャ、オランダから輸入されます。新鮮さが命のシュパーゲルは輸送技術が整った今日でも南半球からのオフシーズンの輸入はわずかな量に留まっています。旬にこだわるドイツ人のライフスタイルがシュパーゲルを通じてうかがえます。

《その他の国でのシュパーゲル》

約80万トンのシュパーゲルが全世界で生産されおり、十年間で20%以上の伸びを示しています。そのうち45%が緑、 55 %が白シュパーゲルです。

地域 年間生産量 前年比
アジア・オセアニア 23万5千トン +57%
南アメリカ 17万6千トン +120%
ヨーロッパ 23万3千トン -2%
北アメリカ 9万9千トン -11%

 

 

★シュパーゲル村 "Walbeck" 紹介

デュッセルドルフから車で約30分、オランダとの国境近くの町"Walbeck"は良質のシュパーゲルの産地としてニーダーライン地域では特に有名です。新鮮なシュパーゲル料理が味わえるレストランが数多くあり、村の農家では採れ立てのシュパーゲルを買い求めることができます。今回は"Spargelhof Kisters"を訪問し、畑での収穫、選別、販売作業を見学させてもらいました。


ヴァルベック村の入り口


シュパーゲル農家お勧めワイン


レストラン Zum Mühlenhof


畑での収穫作業

Spargelhof Kisters(キイスターズ農園)から車で3分、町はずれに位置する一面のシュパーゲル畑。約20人ほどが一本一本手作業で収穫。土に埋もれたシュパーゲルを見事に一掘りで掘り当て収穫、土を元の状態に手早く戻します。


農園での選別

収穫されたシュパーゲルはこの機械で22cmの長さに切り揃えられ、機械上部に設置されているカメラを使って、色、太さ、長さにより12段階に選別されます。選別の際、シュパーゲルをいためないように大量の水が使われます。また機械の周りでは、作業員が選別されたシュパーゲルの箱入れをしていきます。

販売・出荷

選別されたシュパーゲルは1キロ1ユーロから6ユーロで農家の店頭に並びます。料理に応じてシュパーゲルの太さを選ぶと良いそうです。この農家ではシュパーゲルのほか、シュパーゲルパン、シュパーゲル料理によく合うワイン、ハム類などを販売しています。奥さんお手製のパンフレットもあります。

また、機械で皮をむかれたシュパーゲルが近くのレストランへ出荷されます。角度を変えて設置されたナイフが水の勢いで押されたシュパーゲルの皮を一瞬のうちにきれいに剥いていきます。

 

〜〜Walbeckの町角で〜〜

今回お邪ました農家と畑の間には15世紀の大きな風車が立っていました。現役で小麦をひく風車としてはドイツで最も古い風車だそうです。風車の裏には昔ながらのかまどでパンを焼き販売するベーカリーがあります。風車の見学のあと、ベーカリーで一休みは如何でしょうか。

風車Info:www.muehle-walbeck.de

 

★簡単レシピ

シュパーゲルクリームスープ(クラシック) 

材料(4人分):
シュパーゲル 500g
1リットル
少々
砂糖 1/2TL
バター 50g
小麦粉 30g
生クリーム 125g
卵黄 1個
レモン汁 適宜
作り方:

1)シュパーゲルの皮をむいて、適当な長さに切る。 
2)水に塩、砂糖、シュパーゲルの皮と下の切り取った部分を入れ、弱火で15分ゆでる。 
3)2をこしてできたスープの中にシュパーゲルを入れ、15〜20分にて、一度取り出す。 
4)バターを小麦粉でルーを作り、シュパーゲルのゆで汁を注ぎ、あらかじめ混ぜておいた生クリームと卵黄をスープに加える。 
5)シュパーゲルをスープに入れ、塩、こしょう、レモン汁で味を調える。 

 

シュパーゲル・ブロッコリー・ラグー 

材料(4人分):

シュパーゲル 500g
砂糖 1/2TL
バター 50g
ブロッコリー 250g
小麦粉 1EL
小エビ 150g
生クリーム 125g
卵黄 2個
レモン汁 適宜
塩 こしょう 

作り方:
1)シュパーゲルの皮をむいて、塩、砂糖、バター10gをいれた湯で、15分くらい硬めにゆで取り出す。 2)ブロッコリーを適当な大きさに切って、さっとゆで取り出す。
3)残りのバターで小麦粉を練り、シュパーゲルのゆで汁1/2リットルを注いでのばし、約7分煮る。 
4)ゆでたシュパーゲルを適当な長さに切り、シュパーゲル、ブロッコリー、小エビをソースの中に入れる。 
5)生クリームと卵黄を混ぜ、ソースに入れる。レモン汁、塩、こしょうで味を調える。 

メモ)
★私はゆで汁のみではこくが足りない気がしたので、インスタントのブイオンを加えました。 
★ブロッコリー、小エビのほか、鶏肉、マシュルームなどお好みで試してみてください。 


シュパーゲルのかき揚げ 

ちょっと新鮮さにかけるシュパーゲル・・・どうしようかと考え、家にあった材料でかき揚げをしてみたら、意外といけました。

写真ではよく分かりませんが、この日はオイスターピルツ、豚肉少々、ねぎを入れてみました。 シュパーゲル自体、味に癖がないので、余り味の強いものは避けて組み合わせてみてください。しょうゆ、てんつゆもいいですが、抹茶に塩を混ぜただけの抹茶塩はいけました。

 

シュパーゲルの簡単ラクレット風

ゆであがった熱々のシュパーゲルの上にラクレットチーズをのせて出来上がり。

 

アボカドクリームソース
(4人分 シュパーゲル750g)

材料:

アボカド 1個
レモン汁 大さじ2
マヨネーズ 大さじ3
たまねぎ 小1個
塩・こしょう  少々
レモン皮の細切り 少々
Petersilie・Dill・Melissen  少々
生クリーム 大さじ5
えび 100g

作り方:
1)アボカド果肉を裏ごし、たまねぎはみじん切り、香草を飾りようを除いてみじん切りにする。えびはさっとゆでる。生クリームをホイップする。
2)生クリームとえび以外を混ぜ合わせる。
3)最後に生クリームを加える。
4)ゆでたシュパーゲルを皿にもりグリーンのソース・えび・香草で飾りつける。

参考ウェッブサイト:www.spargelseiten.de
          www.spargelhof-kisters.de キイスターズ農園
                     www.walbeck.net ヴァルベック村の情報